【イベントレポート】 12/13 シェアリングエコノミーサミット at HafH Nagasaki SAI

長崎の未来は明るいか

100年に一度の大変革時代を迎えている日本。

モノ・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する「シェアリングエコノミー」が浸透してきています。

HafHもその1つ。

住む場所をシェアし、
働く場所をシェアし、
地方をシェアする。

旅する「風の人」と、地元を守る「土の人」がふれ合い、新しい「風土」を生み出す場として、かつての”出島”を現在に蘇らせるべく、長崎からスタートしました。

今回は、そんなHafH Nagasaki SAIにて

●インバウンド(観光の未来)

●モビリティ(移動の未来)

●地元商店街(商店街の未来)

3つのテーマでシェアリング・エコノミーに焦点を当て、全国のプロフェッショナル達が全国から長崎に集まりトークセッションしました。

会場は満員御礼。熱気に溢れています。

ファシリテーターを務めるのは、HafHのCo-CEO 大瀬良亮。

ゲストのトークを広げます。 

●テーマ1 インバウンド(観光の未来)

このテーマでトークするのは、長崎空港を有する大村市の園田裕史 大村市長、日本全国の「インバウンド×地方創生」を支援する総合マーケティング企業 株式会社 Beyondの道越 万由子氏です。

(写真左:株式会社 Beyondの道越万由子氏、写真右:園田裕史大村市長)

インバウンドについて「長崎のポテンシャルは、まだまだ眠っている」と口を揃えるお2人。

「Nagasakiの地名は、原爆の歴史により世界中に知られているが、原爆以外のポジティブな魅力を伝えることが大切。例えばキリスト教の歴史は先日のローマ教皇の訪問によって注目された。キリスト教文化が根付く欧米に、長崎はもっと情報発信すべき」と道越氏。

長崎の観光コンベンション協会と組み、欧米むけにSNSを通じて長崎の深い歴史や世界遺産を動画・写真を交えて世界に英語で発信を始めたところ、期待以上の反応があるようです。

HafH代表の大瀬良が「観光ガイドはボランティアが当たり前と捉えられ、ビジネスになりにくい」と問題提起すると、道越氏は「日本は英語で案内ができる人材が少ない。有料でもいいから体験したいという外国人観光客は多い」とインバウンドの可能性を示しました。

園田市長は、潜伏キリシタン世界遺産の歴史や、グリーンツーリズムのインバウンド受入れ先進地として大村市を紹介。

「長崎空港は周遊の起点として長崎・九州の玄関口になれる。空港の24時間ハブ化を含め、大村だけでなく”オール長崎”で取り組むことが大切」と強調しました。

長崎のインバウンドの未来は、アジアだけでなく、欧米に目を向けビジネス化すること、オール長崎でいかに周遊促進に取り組めるかが重要になりそうです。

●テーマ2 モビリティ(移動の未来)

周遊促進で重要になるのは「移動手段」。

ANAセールス株式会社の野島 祐樹氏と、九州周遊活性化コンソーシアム,そして駐車場やキャンピングカーをシェアする(株)トラストパークの西岡 誠氏が登壇。先日、連携ツアー企画を発表し、話題になった2者です。

(写真左:ANAセールス株式会社の野島 祐樹氏、写真右:九州周遊活性化コンソーシアムの西岡 誠氏)

ANAシェア旅×車泊(くるまはく)によるシェアリングエコノミー型「九州周遊体験パッケージ」のトライアル販売

野島氏はシェアリングエコノミーを4つに分類し、分かりやすく解説。

①モノのシェア
②場所(スペース)のシェア
③移動のシェア
④リソースのシェア 

ANAセールスは、移動手段であるANAのフライトと、①~④の様々なシェアリングエコノミーサービスを組み合わせた「ANAシェア旅」を展開しています。

また「journey+」というツアーを通して、地方の課題解決に携わる企画にも取り組んでいらっしゃいます。HafHとの連携ツアーも絶賛 参加募集中です。

「ANAセールス」「パソナJOB HUB」「KabuK Style」が連携「HafH」を活用した″旅するようにはたらく”ツアーを共同開発 

「私たちだけでなく、いろんなシェアリングが交わったほうがいい。旅する人も、旅中にシェアリングでモノや場所などを有償で提供すれば、実質タダで旅することもできる」と野島氏。

そして、西岡氏は、九州の観光周遊促進について紹介し、先ほどの園田市長のトークをさらに広げて大村市を起点とする長崎の周遊モデルを提案。

キャンピングカーと駐車場(電源付き)を提供する「車泊」、そして地方の宿泊施設やモノ・コトシェアで、どのように長崎や九州を楽しめるかを展開しました。

モビリティの未来は、飛行機+車泊で移動をシェアするだけでなく、地方の様々なモノ・コトのシェアと組み合わせることが、長崎の未来を明るくする1つのキーになりそうです。

●テーマ3 地元商店街(商店街の未来)

最後の登壇者は、油津商店街活性化の仕掛け人である木藤 亮太氏、そして全国で体験をシェアしている「TABICA」の細川 哲星氏です。

(写真左:株式会社油津応援団の木藤 亮太氏、写真右:「TABICA」の細川 哲星氏)

「もはや商店街は再生しない」

衝撃の一言から、油津商店街の活性化について語る木藤氏。元の商店街に戻すのではなく、やりたいことが実現する、わくわくする商店街づくりが活性化の原動力だと語ります。

仕事人はシャッター商店街を「再生」した訳ではない

外から誘致する商店を地元が迎合できるように地元コミュニティとの関係づくりから取り組んで25を超える店舗・オフィスを誘致し、人が集まる場所を創出していきました。

「住む」ではなく「暮らす」まちに、経済活動に寄与する生活スタイルを広げることが大事と木藤氏。自身が起業した会社「油津応援団」が商店街の店舗をカフェ「ABURATSU COFFEE」として担うなど、まちづくりが自走する仕組みを確立したのです。

その結果、現在、木藤氏は油津を離れて暮らしていますが、油津の仲間の方々が会社を持続的に運営されており、コミュニケーションやマネジメント頑張っている、いわゆる「自走」するかたちに近づいているとのこと。

TABICAの細川氏は、CtoCで体験をシェアする仕組みについてご紹介。

TABICAでは自分の好きなことをリアルの場でシェアすることで、体験を企画・開催する「ホスト」と参加する側である「ゲスト」を繋げているそうです。

TABICAホームページ

日本全国様々な地域に住むホストが企画する体験に参加することができるので、地元の人同士の交流にも使え、旅先地の地元の人との交流にも使うことができます。

商店街の活性化につながっているケースもあるそう。うなぎ釣り・うな重づくり体験(https://tabica.jp/travels/185)を提供している京都の鰻屋氏が商店街の会長をしており、その商店街は大型商店の地元進出により打撃を受けていたそうです。今では口コミで商店街に少しずつ体験提供者が広がっているとのこと。

体験をする側だけでなく、体験を提供する側が安心して楽しく利用できるというのがとても印象的でした。

商店街の未来は、地元の人が自ら行動したくなる環境やコミュニティが明るくするのかもしれません。

3つのテーマで、シェアリングエコノミーを考えた今回のイベント。あなたはどう捉えましたか?

シェアする側もされる側も、明るくいられることが、何よりも「長崎の未来を明るく」するのかもしれません。

●番外編 「裏シェアトークww」

イベント終了後の夜、登壇者の木藤氏の発案により「裏シェアトークww」と題し、まちづくりスナック「シグナル」で番外イベントが開催されました。

参加者は、本編イベントのご登壇者数名と、客席で参加していた方々。

本編では話せなかったシェアリングエコノミートークに花が咲き、こちらも多いに盛り上がりました。

<登壇者プロフィール>

●ファシリテーター  大瀬良 亮

株式会社KabuK Style Co-CEO

1983年、長崎県生まれ。2007年に筑波大学を卒業後、電通入社。在京若手県人会「しんかめ」を主宰、原爆の実相を伝える「Nagasaki Archive」発起人として、文化庁メディア芸術祭に出展等。2015年から官邸初のソーシャルメディアスタッフに。2018年4月、つくば市まちづくりアドバイザーに就任。2018年11月、「世界を旅して働く。HafH」リリース。

●園田裕史 大村市長

●道越 万由子 氏

株式会社BEYOND 代表取締役
社団法人日本インバウンド連合会 副幹事長
いばらき広報戦略アドバイザー
SNSマーケティング・インバウンドマーケティングプロデューサー

新卒から10年以上IT業界でWEBマーケティングに従事し、インバウンドPR・集客プロデューサーとして活躍。株式会社オプトでSEMコンサルタント、トレンダーズ株式会社にてPRプランナー、ベンチャーにてECコンサルタントを経て、2015年より、海外・SNSマー ケティング事業を立上げ、自治体や大手企業の海外マーケティングの運営やインバウンド 集客の100社以上のプロデュースに携わる。2016年9月に、インバウンドPRに特化したマーケティング会社である株式会社BEYONDを設立し、代表取締役に就任。また、現在は日本のインバウンドをSNSで盛り上げるため、社団法人JIF日本インバウンド連合会の理事なども務め、全国の自治体や企業向けにも多数講演を実施。

●西岡 誠 氏

九州周遊観光活性化コンソーシアム 代表

総務省のIoTサービス創出支援事業「キャンピングカー等を使った新しい旅のカタチ 車泊(くるまはく)」の事例や広域連携について、実際にプロジェクトリーダーとして活動されたコンソ代表のトラストパーク ソリューション本部 西岡氏にお話を頂きます。 ※九州周遊観光活性化コンソーシアムは熊本県・長崎県・福岡県・佐賀11地域で「シェアリングエコノミー型 九州周遊観光サービスモデル事業」を展開中。 昨年度は内閣官房シェアリングエコノミー伝道師 森戸氏と九州7県+山口県の10地域でシェアリングサミット開催し、シェアエコの啓蒙と車泊実証事業のリファレンスモデルを紹介。今年度は全国展開に向けてANAとの実証実験や観光ルート開発などの検討会を実施している。

●野島 祐樹 氏

ANAホールディングス
デジタル・デザイン・ラボ
イノベーション・マネージャー
2007年 ANAセールス(株)入社

大阪支店にて、旅行会社がパッケージツアーを造成する為の航空券セールスを担当
その後、リクルートとの合弁会社、ANAじゃらんパック(株)の会社・事業立ち上げに従事。
全国の「じゃらん」の宿とANAの国内線を自由に組み合わせるダイナミックパッケージでの旅行販売・企画・事業推進を担当。
2016年より旅行戦略部で各自治体様との共同企画や震災復興支援企画の担当。また民泊を組み込んだ商品開発などを実施。
2018年から、ANAホールディングス(株)デジタル・デザイン・ラボへ出向
次世代ツーリズム(シェアエコツーリズム)を推進中

●木藤 亮太 氏

株式会社油津応援団専務取締役
株式会社ホーホゥ代表取締役

1975年福岡出身。宮崎県日南市が実施した全国公募で選ばれ、2013年7月よりテナントミックスサポートマネージャーに着任。“猫さえ歩かない”と言われた油津商店街の再生事業に取組み、約4年で25を超える新規出店、企業誘致等を実現。その後は自らが育った福岡県那珂川市に拠点を移し「事業間連携専門官」に着任(2017年4月より)、株式会社ホーホゥを設立(2018年1月より)。その他、各地のまちづくりPJのアドバイザーを兼任するなど活動の幅を広げている。 最近は39年の幕を閉じた喫茶店を承継するプロジェクトを立ち上げ、株式会社バトンタッチ(2019年7月より)を設立。那珂川市に喫茶キャプテンをオープンさせた。

●細川 哲星 氏

㈱ガイアックス TABICA 事業部 地方創生室長

観光客の受け入れ先の地域が独自のプログラムを作成し、現地集合・解散する『着地型観光』に着目し、地域ならではの観光体験(アクティビティやオプショナルツアー)を掲載・予約できるプラットフォーム「TABICA」を展開する企業の事業責任者。地方からの発進力や集客力を高める、地方の新しい魅力発信の仕組みとして、大きな注目を集めている。シェアリングエコノミー伝道師。

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